HELLO WORLDを観た
HELLO WORLDを観てきました。
が、よく分からなかったのでとりあえず観た直後の感想を書いておきます。小説版、および他の方の考察はこれから読む。
当然ネタバレを含みますので、まだ観ていない方はブラウザバックを。
あと初見時点ではあまり面白いと思わなかったので感想が辛辣かもしれない。高評価を読みたい人もブラウザバック推奨。
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さて、この映画を観た直後、私の頭上には?マークがいくつも並んでいたのだが、とりあえずストーリーを思い出しながら感想や考察を書いていきたいと思う。
この映画で注目すべきは最後のシーンだと思う。
それは、「この物語<セカイ>は、ラスト1秒でひっくり返る──」というのがこの映画のキャッチコピーだからだ。
ラストシーン、昏睡していた大人ナオミは目を覚ます。目の前には涙を浮かべる大人瑠璃。実は目覚めない恋人をどうにかして目覚めさせようと奮闘していたのは瑠璃の方だったのである、というエンドである。
さて、このラストシーンの直前に、カラスメーターが100%になる演出が入る。
このカラスメーターは物語の道中にも出てきていて、「現実世界の人間が昏睡に陥る直前までに至っていた精神状態」と「仮想世界にいる同じ人間のその時点での精神状態」とのシンクロ率を表していると思われる。
実際にその理論で、少年直実のいた仮想世界で生きていた一行瑠璃は、大人ナオミのいる現実(実際には仮想世界なわけだが)で昏睡している一行瑠璃とのシンクロ率が100%を超えた時点で魂をサルベージされる。
では、ラストシーンで大人ナオミが目を覚ましたとき、現実世界の一行瑠璃は、仮想世界での大人ナオミと同様に仮想世界から無理やりナオミの魂を引き抜いてきたのだろうか?もしそうであれば、(作中のテーマでもあったように)それは本当に正しいことなのか?という疑問が残る。
私の解釈としては、ラスト1秒以外で描かれていた「仮想世界」は、すべてナオミの夢であったと考えている。その理由は、大人ナオミと少年直実のどちらかしか目にしていないはずのものをお互いが認識しているからである。
■例①
ラストシーン近く、詳細は覚えていないが病院から抜け出すシーンから京都駅のシーンの間のどこかだったはずだが、少年直実の回想シーンの中に、大人ナオミの実験の後遺症である、脊髄損傷や半身不随と書かれたカルテが入っているのである。
作中ではこのカルテはそもそもこの時間軸では登場すらしていなかった。出てきたのは大人ナオミの回想の中だけである。
それが少年直実の回想シーンに含まれているのは不自然である。これが1つ目の例。
■例②
先ほどの例とは真逆のシーンも存在する。それはラストシーンで意識を取り戻した大人ナオミが、精神世界の八咫烏を思い出すシーンである。
八咫烏は仮想世界での大人ナオミとも行動しているが、最後のシーンは少年直実が空に身を投げた後、精神世界で出会った八咫烏である。
これは当然大人ナオミは観察していないはず。これが2つ目の例。
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作中で描かれていたアルタラというシステムは、あくまでも現実世界を精巧に記録し再現するものであり、その仮想世界に存在する意識は現実世界のコピーでしかなく、現実世界と相互にリンクするものではないはずである。
もしすべての「堅書直実」の記憶がつながっているのだとすれば、それぞれの「堅書直実」はアルタラが作り出した仮想人格ではなく、「堅書直実」本人の意志、夢であると考えられる。
……
さて、重要なところの真面目な考察は終わったので、後はこの作品の不満点を挙げていこうと思う。
■不満点① 雑SF要素
・量子コンピュータ技術によりストレージが無限になったって何?
・ブラックホールで雷だけ吸い込むってどういうこと?
堅書直実!お前SF好きって言ったよな?お前の能力雑じゃねえか?
■不満点② 異能力バトル展開
これ異能力バトル展開要る?ストーリーの進行上必要ならいいんだけど、特に異能力バトルが必要だったようには思えなかった。普通の切ない青春物語が欲しいよ~~~~
あと、太陽とかブラックホールとか錬成できるのに狐男に対する攻撃手段乏しすぎない?巨大な本ぶんまわすよりももっと効果的な手段あるでしょ……
■不満点③ 勘解由小路三鈴の扱い
え?本当にただのモブキャラなの?
僕は勘解由小路さんの方が好きです(全ギレ)
以上です。
■余談①
3本の足をもつカラス=八咫烏は、日本神話において神武天皇が大和国へ遠征する際に道案内を務めたカラスらしい。
ラストシーン、八咫烏に一行瑠璃の面影を見出すシーンがある(CV全然違うけどな)。恐らく昏睡状態だったナオミを現実世界に連れ戻そうと道案内をしていたのだろう。
■余談②
精神世界での「彼女が欲しいか?」「欲しい!」というセリフはよかった。
物語冒頭にもセリフ上は同様の問いかけがあったが、その時点でのぼんやりとした、want的な「彼女が欲しい」ではなく、「あるべき場所に取り戻す」という意志がこもったものだから。
オタクはこういう対表現に弱い。
■余談③
狐モブ男に首を絞められる病み上がりの一行瑠璃(推定26歳)←一部の人の性癖にぶっ刺さりそう。
■追記
小説版も読みました。